【管理栄養士の健康コラム】Vol.87 疾病シリーズ「高血圧」 |
今回は、日本人に大変多い疾病の「高血圧」についてのお話です。
なぜ日本人に高血圧が多いのかというと、和食に塩分が多いからですね。
年始は和食を召し上がる機会が多かったのではないでしょうか。
また、寒さも血圧を上昇させます。
ですので今の時期は特に注意が必要ですね。
まず、「血圧」とは何かについて説明します。
血圧とは、心臓から送り出された血液が血管を押す圧力のことをいいます。
血圧測定の際、「上の血圧」「下の血圧」の2つを測定します。
「上の血圧」と呼ばれているのは、収縮期血圧といい、心臓が血液を全身に送り出すために収縮した時の圧力のことを指します。
心臓が収縮している時の血圧は高くなります。
「下の血圧」は拡張期血圧といい、逆に全身を循環した血液が心臓に戻ってきて、心臓が拡張した時の圧力のことを指します。
拡張している時の血圧は低くなります。
心臓が収縮と拡張を繰り返すことで、血液は血圧によって全身に運ばれて栄養や酸素を供給し、老廃物や二酸化炭素を回収して心臓に戻ってくるわけですが、この血圧が高い状態を「高血圧」といいます。
高血圧の診断基準は、
診察室血圧(診察室で測った血圧)140/90mmHg以上
家庭血圧(家庭で測った血圧)135/85mmHg以上
です。
診察室血圧が高く設定されているのは、診察室では緊張により普段より血圧が高くなる傾向にあるからです。
診察室血圧と家庭血圧に差がある場合は、家庭血圧が優先されます。
診察室血圧では血圧が高いが、家で測ると血圧は正常という場合があります。
このような状態を「白衣高血圧」といいます。
医師や看護師の白衣を見ると緊張して血圧が上がることから、こう呼ばれています。
白衣高血圧の場合は、普段は正常なので服薬の必要性はありませんが、将来的に治療が必要な高血圧に移行する可能性が高いことがわかっていますのでご注意ください。
仕事などの緊張する時間帯の血圧を、可能であれば測っていただけるとよいですね。
年齢によっても高血圧患者の降圧目標が違います。
75歳以上は診察室血圧150/90mmHg未満
高齢になると、血圧を下げ過ぎることで脳などの重要な臓器の血流に障害をきたす可能性がある点から、このように設定されています。
また年齢のほかに、持病によっても目標値は変わる場合がありますので気をつけてくださいね。
高血圧改善には、服薬や食事療法が大切ですが、一番の基本は血圧を定期的に測ることです。
血圧は、1日の中でも時間帯によって変化したり、家庭と仕事場など場所や状況によって変化したりと変動があります。
ご自身の血圧の変化や特徴を把握し、意識することが高血圧改善の第一歩なのです。
高血圧予防をしたい方もしくは高血圧治療をしている方は、まずは血圧を測ることを継続していただけるとよいですね。
次回は高血圧が何故怖いかについてお話したいと思います。
参考文献:
きょうの健康 高血圧 河野雄平総監修 NHK出版
「日本人の食事摂取基準(2015年版)」菱田明 佐々木敏監修 第一出版
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