【管理栄養士の健康コラム】Vol.54 ヨウ素について |
8月は終戦記念日があります。放射能の危険について改めて実感した時期ではないでしょうか。
東日本大震災においての福島原発事故の報道を連日テレビで観ていた当時、放射性物質の種類を何度も耳にしました。
放射性物質には何種類かありますが、その1つに「ヨウ素」があります。
海草などの食べ物に含まれているミネラルのヨウ素と放射性物質のヨウ素、何が違うのか常々疑問に感じていました。
その疑問を解消しようと奮起し、今回は「ヨウ素」について書きたいと思います。
栄養素ミネラルのヨウ素と放射性物質のヨウ素の違いは簡単にいうと、放射能(放射性物質が放射線を出す能力)を持っているか持っていないかです。
栄養素ミネラルのヨウ素はヨウ素127(127I)と表し、放射能をもっていません。放射性物質はヨウ素131(131I)と表し、放射能を持っています。127と131の違いの説明は、簡潔に説明できないためご了承ください。原子の相対的な重さとお考えください。
ヨウ素127は自然界に存在しますが、ヨウ素131はエネルギーを取り出す手段である核分裂によって生成されます。
また、ヨウ素は体内の甲状腺という内分泌腺に関連の深い物質です。甲状腺とは、喉の下部に位置し、蝶の形をしています。
核分裂によって生成されたヨウ素131は人間の体内に入ると甲状腺にたまり、内部被ばくを起こすという恐ろしい物質です。子供の場合は甲状腺がんになる確率が増えると言われているようです。
栄養素ミネラルのヨウ素127も、多くが甲状腺に存在しています。
ミネラルのヨウ素127は甲状腺ホルモンの材料となり、新陳代謝や子供の発育に関与します。
ヨウ素127は海草、魚介類、貝類などに多く、海に囲まれた島国に住む日本人は不足の心配はあまりないようです。
ヨウ素127は栄養素として子供の発育にも関与していることから、子育て中のご家庭は特に、海草、魚介類、貝類などを摂取するよう心がけていただけるとよいですね。
栄養素ミネラルのヨウ素と放射性物質のヨウ素の違い、ご理解いただけましたでしょうか。
今回ヨウ素を通して、改めて放射能の恐ろしさを認識しました。
放射線による被害は絶対にあってはならないことだと思います。
子供たちが将来安心して暮らせる環境を作ってあげたいと思わずにはいられません。
参考文献:
『解剖生理学』 小池五郎編著 建帛社
『知っておきたい放射能の基礎知識』 齋藤勝裕 サイエンス・アイ新書
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