【管理栄養士の健康コラム】Vol.121 梅干しは昔からの保存食 |
皆さん梅干しは好きですか?
私はハチミツ漬けの甘い梅干しが好きなのですが、梅干しは塩辛くないと!という方もいらっしゃいますよね。
昔は日の丸弁当が定番だったりして、お弁当やおにぎりには欠かせないものでした。
今の時期、自宅で梅干し作りをされている方もいらっしゃるかもしれませんね。
今回は、そんな梅干しについてのお話です。
梅干しは、昔から食されてきた「健康食品」であり、「保存食」です。
梅干しに含まれるクエン酸によって、疲労回復効果や、唾液の分泌を促し消化吸収を良くしてくれる効果が期待できます。
医学的に証明されていないことも含めれば、実に様々な効能があると言われているようですね。
では、保存食と言われているのは、なぜでしょうか。
それは、塩の力によるものです。
前回のコラム Vol. 120ジャムはどうして腐りにくいの? では、砂糖の力についてお話ししましたが、塩にも砂糖とよく似た力があります。
白くて見た目もよく似ている塩と砂糖、これらには、同じような保存性を高める力があるのです。
梅干しを作るには、梅の果実の塩漬けと、日干しにするという工程があります。
これらの工程は、梅の中の水分を減らし、腐敗菌の活動を弱めてくれます。
腐敗菌は水が大好きなので、その腐敗菌の好きな水を減らして、保存性を高めるというわけです。
塩で野菜をもむと水分が出ますよね。
つまり、塩には脱水作用があるのです。
一般的に濃度10%食塩水で、通常の細菌がほぼ繁殖しにくくなります。
このようにして、塩の力を利用し、梅干しは長期間保存が可能になります。
冷蔵庫もなかった時代には、塩や砂糖の力を借りて、食べ物を保存していたんですね。
昔からの生活の知恵は、本当にすばらしいと思いました。
ただ、昔ながらの製法で作られた梅干しは非常に塩分が高いです。
冷蔵庫がある今となっては、保存性よりも、体のために減塩することのほうが重要視されていますので、梅干しはほどほどにしていただけるとよいですね。
ハチミツ漬けの梅干しや、塩分控えめの梅干し、今は様々な梅干しがありますので上手に活用していただければと思います。
参考文献:
「塩と砂糖と食品保存の科学」 食品保存と生活研究会編著 B&Tブックス日刊工業新聞社
「おもしろサイエンス食品保存の科学」 食品保存と生活研究会編著 B&Tブックス日刊工業新聞社
「まりか先生のおいしい実験キッチン」 内田麻里香監修 主婦と生活社
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