【管理栄養士の健康コラム】Vol.107 疾病シリーズ「褥瘡(じょくそう)」 |
今回は褥瘡(じょくそう)予防の栄養管理のお話です。
褥瘡という医学用語は聞いたことがないかもしれませんが、一般的に言う「床ずれ」のことです。
床ずれについて、なんとなくイメージができますか?
日常生活において歩くことができない人(主に高齢者)に多い病気です。
寝たきりの人などが、ずっと同じ姿勢でいることによって、圧迫されている一部の皮膚が赤くなったり、じゅくじゅくしてしまうというものです。
車椅子に乗ることが多い場合でも、床ずれになることがあります。
日本褥瘡学会による定義では、
「身体に加わった外力は骨と皮膚表面の間の軟部組織の血流を低下あるいは停止させる。この状況が、一定時間持続されると組織は不可逆的な疎血性壊死に陥り褥瘡となる」
と定められています。
病院や施設などでは、床ずれのケアをしてもらえることが多いですが、そういった療養型施設に入れなかったり、自宅での生活を優先させたい場合など、自宅で床ずれのケアをしなければならないケースもあります。
床ずれ予防においては、まずは圧迫を排除することが先決ですが、ここでは、栄養面からの予防策についてお話ししますね。
床ずれの原因の一つに、低栄養や脱水症状があげられます。
栄養が足りていないことで、歩くことができる場合でも床ずれを起こすことがあります。
ですので、しっかり食べましょうということなのですが、栄養が足りていないということは、食べられない理由があるということですよね。
その理由をまずは知ることが必要です。
・下痢や便秘はありませんか?
・食べる時の姿勢はどうですか?
・むせることはありますか?
・睡眠のリズムはどうですか?
・歯磨きや入れ歯などの口腔ケアはできていますか?
・食事の間隔は4時間ほどあいていますか?
一概に食欲がないと片付けるのではなく、様子をよく見てあげましょう。
食べたいと思う気持ちを作ることができるように、環境を整えてあげることが大切です。
まずは食べられるものを、少量からでも食べられるとよいですね。
どうしても必要量を食べられない場合は、特別用途食品の利用も検討してみてください。
床ずれを実際に見たことがある方はご存知かもしれませんが、重症化し凝視できないほど痛々しい症状に至るケースもあります。
できる限り、床ずれにならないように予防してあげたいものですね。
参考文献:
「新床ずれケアナビ」 日本在宅褥瘡創傷ケア推進協会編集 中央法規
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