【管理栄養士の健康コラム】Vol.90 栄養素について知ろう「ナトリウム」について |
今回のコラムは、高血圧に深く関わりのある栄養素「ナトリウム」についてのお話です。
ナトリウム(Na)は、食品の中では、塩素と結合した形で存在しており、食品中の含有量は食塩相当量(=食塩)として示されます。
日本人の食事摂取基準においても、食塩相当量で示されています。
成人(18歳以上)男性で8.0g/日未満、成人女性で7.0g/日未満を目標量としています。
この数値は、日本人の食事摂取基準2015年度版から、それまでの基準より厳しい目標量となりました。
ナトリウムは摂り過ぎると健康に害を及ぼす栄養素だということがわかってきたからですね。
通常の食事で充分補うことができるため、妊婦や授乳婦においても、食事以外でナトリウムを摂取する必要はありません。
ただし、熱中症対策時には付加が必要な場合もありますので、ご注意ください。
では食塩をとりすぎると、どのような害があるのでしょうか。
一つめは、高血圧が挙げられますね。
高血圧は動脈硬化を引き起こし、生活習慣病になる恐れがあります。
二つめは、腎機能障害です。
ナトリウムの体内でのバランスを保つためには、腎臓の役割が不可欠です。
ですので、食塩を摂り過ぎることで腎臓に負担がかかり、腎機能に障害が起こることがあります。
食塩の摂り過ぎは、高血圧・腎臓の病気と深く関連しているのです。
三つめに、意外に思われるかもしれませんが、胃がんのリスクを増加させる可能性が高いこともわかっています。
食塩は、調味料に多く含まれています。
食塩そのものはもちろん、醤油やみそにも含まれていますね。
醤油においては、濃口醤油より薄口醤油に食塩は多く含まれています。
減塩のためにはできるだけ濃口醤油の方を利用することをお勧めします。
減塩醤油や減塩味噌もありますので、そういった減塩タイプの製品を利用するのもよいですね。
また、固形コンソメや顆粒の和風だしなどにも、食塩が含まれています。
食塩が含まれていることを意識して、固形コンソメの他に調味料を足さずに薄味を心がけたり、顆粒の和風だしを使わず、昆布やかつお節でだしをとるのもよいですね。
減塩に意識をもち、実践できそうなことから取り組みましょう。
前回のコラム Vol.89 高血圧予防の食事 も参考にしていただけるとよいですね。
参考文献:
「日本人の食事摂取基準(2015年版)」菱田明 佐々木敏監修 第一出版
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