【管理栄養士の健康コラム】Vol.208 脂肪酸は敵?味方? |
今回は栄養素「脂質」についてのお話です。
脂質は大切なエネルギー源であり、使われなったエネルギーは、中性脂肪として体に蓄え
られます。
蓄えられた中性脂肪は、体温を維持し、寒さから私たちを守ってくれるので、冬には特に
必要な栄養素といえるかもしれません。
ただ中性脂肪を蓄えすぎると、肥満や生活習慣病につながるので困ってしまいますが。
脂質は、脂肪酸とグリセロールが結合した高分子化合物です。
脂肪酸やグリセロールという言葉は聞きなれない言葉ですよね。
今回は、脂質の構成成分である「脂肪酸」について、ちょっと詳しくなってみませんか?
摂ってほしい脂肪酸、控えてほしい脂肪酸をお伝えします!
脂肪酸は構造の違いで、
・飽和脂肪酸
・不飽和脂肪酸
に分けられます。
摂ってほしい脂肪酸は、「不飽和脂肪酸」です。
不飽和脂肪酸には様々な種類があり、種類によって働きが違います。
例えば、EPA やDHAも不飽和脂肪酸の1種ですが、これらは、心筋梗塞を始めとする循環
器疾患の予防、認知機能低下や認知症の予防が期待できます。
不飽和脂肪酸は全体的に、血中脂質のバランスを整えますので、摂ってほしい脂肪酸とい
うわけです。
不飽和脂肪酸は、魚や植物油に多く含まれています。
逆に、控えてほしい脂肪酸は、「飽和脂肪酸」です。
飽和脂肪酸は、血中脂質のバランスを悪くし、LDLコレステロール値を高くしたり、中性
脂肪を増やしたりします。
そうすると循環器疾患の危険因子となってしまいます。
飽和脂肪酸は、肉や乳製品に多く含まれています。
もう1つ、控えてほしい脂肪酸があります。
それは、「トランス脂肪酸」です。
トランス脂肪酸は、マーガリンやショートニングを加工する際にできてしまう脂肪酸です
。
つまり人工的に作られた脂肪酸です。
これを摂りすぎると、飽和脂肪酸よりもLDLコレステロール値を高くしてしまう恐れがあ
ります。
トランス脂肪酸は、マーガリン、ショートニング、それらを使用した食品に含まれていま
すので気をつけてくださいね。
脂質といっても、いろいろです。
脂質を構成する脂肪酸にも、種類があって、全てが健康の味方でもなく、全てが敵でもあ
りません。
自身に合った脂肪酸を知り、その脂肪酸を多く含んだ食べ物を食べるように心がけていた
だけるとよいですね。
参考文献:日本人の食事摂取基準2020年版 伊藤貞嘉/佐々木敏監修 第一出版
栄養学総論 林淳三 高橋徹三共著 建帛社
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