【管理栄養士の健康コラム】Vol.100 食事という魔法 |
家族、友達、恋人、仕事関係などの色々な人間関係の中で、
「食事を一緒に」
という場面が度々ありますよね。
どうして、人は一緒に食事をしたくなるのでしょうか。
それには、ちょっとした理由があります。
そのちょっとした理由について、今回はお話ししますね。
そんなに親しくなくても、上司の誘いだから仕方なく居酒屋に、といったこともあるかと思います。
このような場合、あまり気が乗らないという方も多いかもしれませんね。
しかしながら、食事を一緒にするだけで、上司との関係がうまくいくこともあるんですよ。
一緒に「おいしい」と思うことは、人間関係をうまく運ぶことができる魔法なのです。
人は「おいしい」と感じると、嬉しくて快感ホルモンが出ます。
そうするとその場が楽しくなる、話も弾むといった具合です。
満腹になるとさらに楽しくなります。
アルコールが入るとなおさらです。
腹を割った話ができれば、そこで信頼関係も生まれるかもしれません。
ですので、食事というのは、人間関係においてとても重要な役割をしているのです。
快感ホルモンのことまで知らずとも、人は本能的に食事を通してコミュニケーションをはかろうとしているのだと思います。
実は、食事を通してのコミュニケーションというのは、赤ちゃんの時から始まっています。
母子のコミュニケーションです。
まず、赤ちゃんよりさらにさかのぼって、胎児の時の話をしますね。
胎児はお母さんのお腹の中で色々な臓器ができて、人の形に成長していきます。
その成長の過程で口ができ、口ができたら、生まれてからおっぱいを飲むための練習を始めるのです。お腹の中で、すでに練習が始まっているんですよ。
顔に触れたものを口で触れて確かめたり、自分の指をおしゃぶりしたり、お腹の中の羊水を飲んだりします。
これらはすべて、おっぱいを飲むための練習=生まれてから生きていくための練習なのです。
無事に生まれたら、お母さんのおっぱいを飲みます。
最初はうまくいきません。赤ちゃんもお母さんも新米だからです。
でも頑張って何度も挑戦するうちに、上手に飲めるようになります。
赤ちゃんのお母さんに対する信頼感が生まれます。
人は口(食事)を通して、最初の心が生まれるのです。
食事と心は密接に関わっています。
食事が人間関係において、いかに重要かおわかりいただけましたでしょうか。
食事という魔法を、これからも上手に使ってみてくださいね。
参考文献:
「お母さんと赤ちゃん 食事と母乳のいい関係」 食べもの文化編集部編 芽ばえ社
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