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管理栄養士の健康コラム

vol72

【管理栄養士の健康コラム】Vol.72

栄養素について知ろう「ビタミンB1」とは

今回は、ビタミンB1についてのお話です。

前回の健康コラムVol. 71「疲れない体を作る食事」で、疲労回復にはビタミンB1摂取が効果的であることをお話ししました。
ビタミンB1が欠乏してしまうと、だるさ、食欲不振、イライラ、便秘、脚気、運動障害などの症状が現れてしまいます。
元気よく生活するためには、ビタミンB1は不可欠なのです。

この重要な栄養素ビタミンB1がどのようにして発見されたのか、今回はその歴史を振り返ってみましょう。

ビタミンB1は、1910年、鈴木梅太郎がヌカから抽出することに成功しました。
当時、脚気(かっけ)が流行しており、農芸化学の研究者、鈴木梅太郎は脚気予防の研究をしていました。
脚気は、歩行困難になり、心不全などで死に至ることもある病気です。
梅太郎は、ビタミンB1の欠乏が原因で脚気を引き起こすことを発見しました。

当時の人々は、精米機械の普及で、玄米や半つき米ではなく、おいしい白米を食べるようになっていました。
白米には、ビタミンB1はほとんど含まれていません。

100g中のビタミンB1含有量
玄米 0.41mg
白米 0.08mg

そのため、ビタミンB1が欠乏していたのでしょう。
脚気は精米機械の普及が著しい都心部から流行したようです。
梅太郎は、玄米を精米した時に出るヌカに注目し、脚気を治す成分があると確信しました。
そして現在ビタミンB1と呼ばれているその成分を抽出し、「オリザニン」と名づけました。
しかしながら、脚気の原因が精米機械の普及によりヌカを廃棄しオリザニンを摂取しなくなったことにあるという研究結果は、人々に受け入れられませんでした。
人々はおいしい白米を好んで食べるようになっていたからです。
脚気は、以前からと同様、細菌感染による伝染病だと考えられ続けました。
梅太郎の研究の成果も虚しく、年間数十万人が脚気にかかっていたとのことです。
後にビタミンB1が安価で手に入るようになってから脚気患者は激減し、近年ではほとんどありません。

このようにして、ビタミンB1は脚気予防の研究の過程において発見されました。
そして現在では、ビタミンB1炭水化物の代謝に不可欠な栄養素であることも知られています。
食事において、脂質やたんぱく質の割合が大きい場合、ビタミンB1は少なくてすみますが、炭水化物の割合が大きい場合は、そのぶんビタミンB1を多く必要とします。
ですので、昔のように脚気に至ることはないにしろ、米を主食とする日本人にとってはとりわけ重要な栄養素なのです。
現在においては、ストレスや疲労に悩む人々にとって、不可欠な栄養素として位置づけされているのではないでしょうか。
ビタミンB1を多く含む、豚肉、魚介類、豆類、玄米、全粒粉パンなどをこれからもしっかり召し上がっていただけるとよいですね。

参考文献:
 「オリザニンの発見」 鈴木梅太郎伝 齋藤實正著
 「栄養学総論」 林淳三・高橋徹三共著 建帛社


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