管理栄養士の健康コラム

vol274

【管理栄養士の健康コラム】Vol.274

消化管は働き者 ~食べる。生きる。~

食べたらその後どうなるの?
改めて考えてみるのもよいですよね。
理科の授業のようですが、今回は消化管の長い旅のお話です。

長い旅は、口からのスタートです。
食べた後は、
栄養を体が取り入れやすい形に分解していく=消化
その栄養を体の中に取り入れていく=吸収
が行われます。
口→食道→胃→小腸→大腸→肛門
を通り、消化吸収、そして排泄でゴールです。
口から肛門までの消化管はなんと全長8~9m!長いですよね。
時間でいうと、食べ物が口から入ってゴールの肛門まで、24~48時間ほどかかります。

口から食道を通って、胃に到達。
胃では胃液が分泌され、入ってきた食べ物は粥状になるまでかき混ぜられます。
胃での滞在時間は食べ物によって違っていて、
糖質で2~3時間
たんぱく質で4~5時間
脂質で10時間かかることもあります。
つまり、脂質を多くとると胃はいっぱい働くことになります。
胃の調子が悪い時は、脂っこいものは控えてくださいね。

胃の次は小腸に移動します。
胃の中が空になると、2つのホルモン「グレリン」「モチリン」が分泌されます。
グレリンは、胃の中が空っぽになったからごはんを食べてほしいという指令を脳に送ります。
モチリンは胃のお掃除ホルモンで、胃に残った食べかすなどを小腸に押し出します。この時、胃が収縮するため、お腹がグーっと鳴ります。
学生の時に授業中お腹が鳴って恥ずかしい思いをした人も多いかと思いますが、空腹でお腹が鳴ることは体が正常な証拠ですよ。(とはいえ恥ずかしいですよね)
小腸では、消化・吸収が進みます。そして大腸に。
大腸では水分を吸収し、固形の便にして排泄します。
食べ物が口に入った瞬間から、これだけの長い道のりを24時間以上かけて、消化管は毎日働き続けているというわけです。

こんな働き者の消化管には元気でいてもらいたいですよね。
そのためには、
「朝ごはんをしっかり食べる」
消化管の1日のスタートは朝が一番です。
消化管が働き始めると体も目覚め、排便のリズムもととのいます。
それと、「晩ごはんは成長期はしっかり!大人になったら控えめに」
晩ごはんの後は寝るだけなので、食べ過ぎると太る原因になりますし、睡眠の質にも影響します。できれば就寝の4時間前に晩ごはんをとるようにしましょう。どうしても4時間前にとれない場合は、胃に負担がかかる脂質を控えた食事にしておきましょう。
揚げ物や炒め物ではなく、煮物や蒸し物にするとよいですね。

ストレス解消も大切です。
胃腸の不調はストレスが原因ということが多いです。ストレスによって胃腸がうまく働かなくなるからです。心の健康はとても大切なことなのです。
ストレスを避けることはなかなか難しいので、ストレス解消法を自分なりに見つけられるとよいですね。辛いこと、不安なこと、嫌なことにも終わりがあって、なんとかなるものです。ストレス解消して、胃腸を元気いっぱいにして、良い連鎖を生み出しましょう。

消化管の長い旅、いかがでしたでしょうか。
「食べる」って「生きる」ことなんだと、私は改めて実感しました。
これからも、おいしいものをしっかり食べて、健康に過ごしていけるとよいですね。


参考文献:なぜからはじまる体の科学「食べる・出す」編 鯉淵典之著 保育社
     腸のトリセツ おなかの不調の原因と治し方が、即わかる! 江田証著 Gakken



■□■□■ おすすめレシピ ■□■□■

いかとさと芋の煮物
おすすめレシピ



このページのトップへ